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アジアの英語教育
第1回 韓国の英語教育事情

ナラボー・プレス 赤井田拓弥

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韓国の小学校での英語教育

 「10年も英語を勉強しているのに話せない」という批判は、日本だけでなく韓国でも同じように言われている。こうした批判に応える形で、韓国ではついに1997年から小学校における英語教育の導入に踏み出した。

小学校における英語教育の現状

 「小学英語の特徴としては、ゲームや歌、そしてお喋りの中で英語の力をつけるというのが中心になっている。また学年別に細かな基準も設けてあり、3、4年生ではアルファベットを使っての英語だけで行う授業が必修になっている。覚える単語の数は、3、4年生で各100語、5、6年生では各150語が義務づけられている。」(『現代教育新聞』ホームページより)
 1997年に韓国文部省が行った2,000組の子どもの保護者へのアンケートで、その91.9%が小学英語教育を高く評価しているそうである。また89.6%の人は、子どもは英語の授業を楽しんでいるように思えると答えている。
 こうしてみると、韓国では、小学校からの英語教育の導入については、かなり評価されていると言える。
 教科書についても、韓国教育研究庁が最初に発行した12冊の教科書の分析を行ったところ、そのうちの54.9%が「非常に優れている」、29.2%が「良い」という評価を出している。(『現代教育新聞』ホームページより)

両国の目指す目標の違い

 日本でも、2002年度から小学校の英語教育を導入しようとしているが、両国が目指している目標が違っているようである。「韓国では1997年、初等教育の第3学年から始める必修英語教育の実施段階に入ったが、その目標は「生活英語」であり、日本の幼児英語教育に関して文部科学省などが目指している「国際理解教育」とは対照的である。」(梁瀬正子「韓国英語教育の現状及び日本との比較」 日本「アジア英語」学会ホームページより)
 また、学校での英語の授業とは別に、韓国の小学校では英語のクラブ活動が盛んである。
 「1994年の終わりにソウルでは、900,239人の子どもが503の小学校に通っていた。これらの学校のうち87校が1つの英語クラブを持ち、85校は2つ、293校では3つ以上の英語クラブを持っていた。英語クラブがまったくなかったのは38校に過ぎなかった。4年生から6年生の子どものおよそ20%に当たる92,112人が英語クラブで学ぶことができた。」(樋口忠彦ほか『小学校からの外国語教育』 研究社出版)
 これは1997年に小学校に英語教育が導入されるかなり以前のデータであるから、現在ではもっと多くの子どもたちが学校の授業及び英語クラブで英語を勉強していると思われる。

教科書と授業時間・目標

 韓国の小学校の英語は、基礎的な生活英語の理解と表現能力の伸長を目標とし、コミュニケーションの基礎となる会話教育を主体にしている。
 教科書は、国語(韓国語)などの国定教科書と違って、競争を経て選ばれた12種類の検定教科書である。教科書は16単元から成り、教科書の他にカセットテープの付録資料も用意されている。
 英語は小学校の正規課目であり、年間最小68時間、週平均2時間教えることになっている。

幼稚園も英語教育競争

 小学校で英語教育が始まれば、その下の幼稚園でもその準備に熱心になるであろうことは簡単に想像がつく。また、韓国政府が「英語教育は早いほうがよい」という結論を下したため、英語教育プログラムのない幼稚園は園児募集に苦しんでいると言われるほど、多くの保護者が就学前の英語教育を望んでいるのである。
 早期英語教育に対する親の関心が高まるにつれ、幼児英語教育のための教材やプログラムが氾濫するようになる。「現在、韓国内で子ども向け英語プログラムを扱っている会社は30社以上にのぼり、これらの業者が作った教材、カセットテープ、ビデオテープだけで100種類以上ある。」(金淑姫『ママが教える子どもの英語』 白帝社)
 一方、こうした早期英語教育の過熱に警鐘を鳴らす人も多い。ソウル市教育庁が新課程開始直後の1997年夏に調査した結果、ソウル市内に146か所の幼児対象の「英語学院」が新規開設され、25,000人の未就学児が通い始めたり、幼稚園で小学校の英語授業内容を上回る水準の英語授業が開始されたことが判明した。ソウル近郊の京畿道では「幼稚園の英語教育全面禁止」の指示を出す結果となった。
 いずれにせよ、こうした早期英語教育が功を奏するのか、それとも反対に作用するのかは、時間の経過を待たねばならないだろう。


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