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アジアの英語教育
第1回 韓国の英語教育事情

ナラボー・プレス 赤井田拓弥

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大学および社会人の英語力と教育

 日本人の英語力と韓国人の英語力を比較するのに、TOEFLスコアがよく使われ、TOEFLのスコアで、アジアの中でも世界中の国々の中でも、日本は最下位に近い位置に甘んじていることはよく知られている。

TOEFLスコアによる日韓英語力比較

 TOEFLの平均点は、1965年以前は韓国より日本のほうが高かったが、それ以降1970年までのあいだに抜かれてしまい、その後は、ますますその差を広げられている。
 「韓国では経済力の増大にともなって、海外、特に米国への留学熱が高まり、英語教育に対する関心が高まっているのに加え、( 中略 )また、中国、台湾、香港等のアジア諸国でも米国を中心とした海外への留学熱が高まっているため、志願者の殺到する米国の有名大学・大学院は、入学する条件としてTOEFLの点数を引き上げ(近年では630点程度ともいわれる)ており、そのことがまた、これらの国々での英語教育熱を高め、TOEFLレベルを引き上げることにもつながっている。」(財団法人 東北産業活性化センター『国益を損なう英会話力不足』 八朔社)
 こうしたことも作用してか、日本人のTOEFLスコアがやや横ばいなのに比べて、韓国人のスコアは年々上昇している。スコア比較をグラフで見てみよう(下のグラフ参照)。ただし、TOEFLのスコアを国際比較する際に母集団の差は考慮する必要はあるだろう。母集団が増えるにしたがって平均スコアは下がる傾向にあるからである。TOEFL Test and Score Data Summary(ETS)の1999-2000 Editionによると、アジアで1位のフィリピンは平均点が584点で、その受験者数は92名である。一方、日本人の受験者数は100,453人で、平均点は501点である。
 しかし、いずれにしても、この時の韓国人の受験者数は61,667人で平均点が535点であることから考えると、母集団の差を考慮したとしても、韓国人の英語力のほうが日本を上回っていることは歴然としており、年々その差が広がっていることが下のグラフからも見て取れるだろう。

日本人と韓国人のTOEFLスコアの推移比較


TOEICスコアによる日韓英語力比較

 日本でTOEICの試験が初めて実施されたのは1979年の12月であった。韓国でも1982年にTOEICを導入し、その受験者は年々増え続けている。1982年に1,379人でスタートし、1993年には112,230人になった。そして、現在の受験者数の正確な数字が手元にはないが、全世界で200万人のTOEIC受験者のうち、「50%が日本人で40%が韓国人である」と言われているので、韓国の受験者数は年間80万人ということになる。
 ややデータが古いが、TOEICスコアで、日本人と韓国人の英語力を比較してみよう。以下に、1990年と1993年の日本人と韓国人のリスニングスコア、リーディングスコア、そしてトータルスコアを比較して掲載した。

TOEICスコアに見る日本人と韓国人の英語力比較
  1990年 1993年
日本人 韓国人 日本人 韓国人
Listening 213.6 203.1 239.5 220.7
Reading 194.4 218.4 201.7 223.9
Total 408.0 421.5 441.2 444.6
TOEICスコアは5点刻みで表示されるが、この表では平均点なので、5点刻みではない。
団体特別受験制度(IP)のスコアのみで比較した。
資料提供:国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC運営委員会


「リスニング力<リーディング力」から「リスニング力>リーディング力」型へ

 韓国での英語教育は、従来、読解や文法の学習が中心で、英語を話すことよりも読み書きを重視してきた。これは日本と同じである。そのため、日本でよく聞かれる「10年も英語を勉強してきて外国人と話もできない」という声も、韓国でも同じように聞かれる。また、日本に比べて外国人と接する機会が極端に少ないことなどが原因で、TOEICに見る韓国人の英語力は、下の表の1990年のデータにも見られるように、「リスニング<リーディング」の学校英語型であった。リーディング力がリスニング力に比べて、平均点で15.3点高い。
 それが、1993年までのわずかの期間で、リスニング力とリーディング力が拮抗する形になってきている。1993年のデータで見ると、リスニング力が220.7点でリーディング力は223.9点であり、その差は3.2点に縮まっている。1990年のデータとリスニング力だけを比較すると、17.6点の伸びを示している。
 こうしたことからも、韓国人の英語力はリスニング力とリーディング力がほぼ平均化し、受信型の英語学習形態から発信型の形態に移行してきた効果が現われてきたと言えるだろう。10ページに述べたように、今後英語だけによる英語の授業が浸透していくにつれて、こうしたバランスはますます「リスニング力>リーディング力」のnative speaker型へ移行していくものと思われる。

大学英語に対する期待と現実

 最後に、日本と韓国の大学生が、大学の英語の授業に対してどのように考え、また、その現実はどのようになっているのかを見てみよう。
 大学に入学し、自分の期待に添った英語の授業が行われていれば、学生たちはその授業に価値を見出し、より積極的に学習に取り組むであろう。学生は、高校時代に受験勉強に明け暮れてきた経験などから、今までに求めながらも体験できなかった授業の形態を大学に求めてくるものである。こうした大学の英語の授業に対する期待と現実の姿にギャップがあるかどうかを把握することは、大学の英語の授業の現実もさることながら、高校英語の進め方のヒントにもなるのではないだろうか。
 下に示したグラフは、大学の英語の授業が「期待と異なる」とした学生の「大学英語への失望理由」を示したものである。今後の英語授業計画立案のヒントになるかも知れない。

大学英語への失望理由


参考文献(Websiteを含む)
『小学校からの外国語教育』 樋口忠彦 ほか編、研究社出版(1997年)
『国益を損なう英会話力不足−英語教育改革への提言』 財団法人東北産業活性化センター編 八朔社(1999年)
『このままでよいか大学英語教育−中・韓・日3か国の大学生の英語学力と英語学習実態』 大学英語教育学会九州・沖縄支部プロジェクトチーム 松柏社(1997年)
『TOEICW活用実態報告 第11回』 財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC運営委員会(2001年)
『TOEIC Newsletter』 財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC運営委員会、33号(1990年)、45号(1994年)
『TOEIC Newsletter』 財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC運営委員会、33号(1990年)、45号(1994年)
『ママが教える子どもの英語』 金 淑姫 著・金 容権 訳 白帝社(2001年)
『アジア太平洋ジャーナリスト会議2000』(Websiteより) http://www.fpcj.jp/j/fgyouji/asia/asia_6.html
『現代教育新聞』(Websiteより) http://www.gks.co.jp/news11.html
『日本「アジア英語」学会ニューズレター』(Websiteより) http://www1.linkclub.or.jp/~jafae/JAFAE%20NEWS%204.html



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